2019年12月中旬からnoteに待望の返金機能が付くことが明らかになりました。そこで返金機能の使い方や、これによって今後noteがどんな風に変わっていくのかを考察していきます。
noteの返金機能の使用方法
note運営事務局の発表によると、noteの返金機能の特徴は次のようになっています。
- 有料記事購入後24時間以内なら返金が行われる
- 返金を受けるためには返金申請をしないといけない
- 返金申請には一定の審査がある
- 返金機能を濫用するユーザーはアカウント停止を含む処分が下される
- クリエイターが返金の可否を設定できる
- 「有料マガジン」「定期購読マガジン」「サポート」に返金機能は適応されない
- 返金申請の審査と返金処理はnoteが行う
当たり前の話ですが、返金機能が付くからといってなんでもかんでも返金できる、ということではなさそうです。
最大のネックが「返金審査」ではないでしょうか。返金に当たっては販売側が返金の是非を判断するのではなく、note運営事務局が審査を行うことになっているため、おそらくなんで返金を求めるのか購入者に理由を聞くことになるでしょう。
その理由が正当であると判断された場合、お金が戻ってくるようになるのではないでしょうか。
ただし、値段が内容に相応しくない。中身がスカスカ、ほかのnoteと内容が被っている、などのトラブルに対しては、運営側がどう対処するのかは難しいところですね。
だから審査といってもとりあえずヒアリングはするけど、あくまでも機械的に審査するだけでほとんどのケースは返金してしまうのか、あるいはできるだけ返金させないような方針で行くのか、それによって返金機能の良し悪しが決まってきそうですね。
なお、noteからのメールの内容は次のようになっています。すでに読んだ、あるいは詳細に興味のない人は飛ばしてください。
クリエイターの皆さま
いつもnoteをご利用いただき、ありがとうございます。
12月中旬から、noteをだれもが安心して使える、すてきなコンテンツであふれる世界にするために、あたらしいカイゼンとして「返金機能」を追加します。
noteはクリエイターと読者が出会う場を提供しています。いままでは有料で販売されている記事に、購入後の返金を受けつけるシステムを設けていませんでした。万一、購入者から返金の依頼があった場合は、当事者間でのやり取りをお願いしてきました。しかし、クリエイター自身に対応の手間が発生したり、その延長でトラブルに発展してしまったり、noteの拡大にともなってさまざまな課題が生まれています。
その解決のために、今回の「返金機能」を追加することになりました。
「返金機能」ではnoteの「有料記事」を購入した方が、24時間以内に「返金申請」をおこなった場合、原則返金がおこなわれます。ただし、機能の濫用を防ぐため、返金申請は一定の審査を設けます。この機能を悪用したユーザーにはアカウント停止を含む厳正な対処をする予定です。最大限の配慮をいたしますので、ご安心ください。
また今回の「返金機能」追加にともない、noteクリエイターの売上確定日を毎月「第一営業日」から「第ニ営業日」へ変更します。購入されてから24時間以内は「返金申請」が行なわれる可能性に対応するものです。
「返金機能」の概要は、以下のとおりです。
【1】クリエイターが有料記事を投稿する際に、返金の可否を設定します
「返金機能」が追加される前に投稿された有料記事は、すべて返金できない設定になります。あとから「返金を受け付ける」設定への変更も可能です。
※「有料記事」のみ対象。「有料マガジン」「定期購読マガジン」「サポート」は対象外です。
【2】購入から24時間以内であれば、読者は「返金申請」を出すことができます
【3】読者からの「返金申請」は、審査を経て購入金額の決済がキャンセルされます
「返金機能」の濫用を防ぐため、返金申請の審査と返金処理はnoteが行います。また今回の「返金機能」追加にともない、noteクリエイターの売上確定日を毎月「第一営業日」から「第ニ営業日」へ変更します。購入されてから24時間以内は「返金申請」が行なわれる可能性に対応するものです。
今回の機能追加に伴い、利用規約も同日に変更する予定です。後日、改めて発表いたします。
今回、返金機能を追加する理由
安心してコンテンツが流通する仕組みをnoteにととのえるため、返金機能を追加することになりました。読者はまだ見ぬコンテンツの価値に不安をいだくことなく気軽に購入できるようになり、いいコンテンツが買われやすい環境になります。クリエイターは価値ある内容の記事を、さらに自信をもって販売できるようになります。また、いままで読者からの返金希望に個別対応していた時間を削減することができます。
ただし、noteでは自分のファン限定で伝えたい内容を、あえて有料で公開されているケースもあります。平和な場が保たれるよう、返金の可否はクリエイター自身が選べるようにする予定です。
返金機能の追加で想定されること
今回の「返金機能」追加にともない、読者が満足できないコンテンツに対しては、返金申請がたくさん寄せられることも予想されます。たとえばインターネットで誰でも拾えるような一般論やコピペ、情報商材まがいな記事の売上は減少するかもしれません。一方で、そのクリエイターならではの視点や経験を踏まえた記事、ファンと深い関係性が築けるクリエイターのnoteは、いま以上の収益が発生すると想定しています。
わたしたちの想い
noteは「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」をミッションに掲げて、運営しています。既存のコンテンツ市場が縮小していくと、クリエイターが活動をつづけるための収益を得る機会も減ってしまう危機感から、課金機能は生まれました。サービスの開始から5年で、noteには約500万件の作品が誕生しました。そのうち、およそ1割が有料で販売されています。有料記事は、収益源にあてたい方、自分のアウトプットの市場価値を測りたい方、あえて有料にすることで限られた人にだけコンテンツを提供したい方……その使い方はさまざまです。
返金機能の追加によって、読者とクリエイターが安心して関係を築くことができ、さらにいい作品であふれかえる世界にnoteを進化させていきます。
機能追加直後は、多少の混乱が起きる可能性があります。長い目でnoteを見たとき、いい作品に相応の対価がはらわれる場所にしていきたいと考えています。今回の変更にともない、なにか不安なことがありましたら、お気軽にご連絡ください。
note運営事務局
noteの返金機能で変わりうること
返金機能が付くことによって、果たしてトラブルが減るのかどうかはなんともいえません。
いずれにしても、返金機能が今後、ブロガーやアフィリエイターの間で販売戦略に使われるのはまず間違いないでしょう。
前述のとおり、返金機能を付けるか付けないかはクリエイター側が設定することができます。
そのため、「内容が気に入らなかったら全額返金します(24時間以内に限る)」的な売り方をする人が増えるでしょうね。
これは情報商材などでもよく使われる戦略で、消費者を安心させるのに大変効果的だからです。
特に高額な商品になればなるほど、損したくないという心理が働くため、「なにかあったら返金してもらえばいいや」という保証があることで、買おうかどうしか迷っている消費者の背中を押してあげることにもつながりますね。
また、たとえ全額返金の選択肢を購入者に与えたとしても、ほとんどの人は返金してもらうのをためらう傾向にあると言われています。そのため結局は販売数が伸びることになるのです。
なのでこの機能をうまく利用すればきっと収益増加につながるのではないでしょうか。